No.4 夢と根性のミナック劇場

早起きして早速劇場へ。Penzanceの町から西へ、比較的アップダウンのはげしい丘陵地を激しい運転の二階建てバスに揺られながら50分。ここまで来ると地形もダイナミックになってきて(←)車窓は魅力的に。放牧地を縫うように走る狭いカントリーロードはけっこう楽しめた。Porthcurnoでバスを降り、歩くこと10分。

Minack Theatreはイギリス南西端・コーンウォール半島の海を見下ろす断崖の地ミナックの絶壁に取り付くよう広がる野外劇場。ロウィーナ・ケイド(Rowena Cade)(1893-1983)という女性が、1931年から始めて五十年ほどの歳月をかけて石をかついで崖を上り下りし、劇場の装飾すべてをデザイン・彫刻して少しずつ少しずつ築き上げたという夢と根性の結晶である。よく聞かれる解説には「ひとりで」となっているが実は2人の協力者がいたようだ。しかし、それにしても、という規模ではある。でもよく観察すると実際に「手作業」な部分は(次へ)


ステージの一部と階段状の客席がメインでそれ以外の通路や手摺は後になって建設、設置されたもののようで比較的新しくて、せっかくの「手作り」感を損なっているように思えた。もっと「根性」が滲み出た迫力を期待していたのでここでもまた夫婦で「バチあたり」的発言(オフレコ)。(→)は舞台から客席をのぞむ。今でこそ現代的な照明と音響が完備されているからいいが、わずかな明かりと音響なしの聡明期には役者はさぞ大変だったろうな、と思わせるほどの風と潮の音。悪天候で公演が予告無しに中止されることがパンフに書いてあるのもうなずける。毎年5月〜9月には、各地から劇団を招き、一週間ごとの公演が組まれるそうだ。ライトアップされた夜の姿を想像しながら、またいつか‥

 


座席の背もたれには過去に公演された演目と日時が彫り込まれている。いつも思うことだが墓石に彫り込まれた文字よりも卒塔婆のにじんだ墨文字により時間の堆積を感じる。この記録もきっと何十年も経っているはずなんだがどうも昨日彫られたような感覚に陥ってしまう。石の持つ「永遠」のイメージがそうさせるのだろうか‥さて?。

 

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